全国市議会議長会の取り組み『自治体病院』の経営強化に向けた活動 ①
目次
○はじめに
新聞報道があった羽島市民病院の「急激な赤字拡大」。
ただ、いたずらに「急激な赤字拡大」との報道をSNS等で煽ぎたてるのはいかがなものでしょうか?
今回の投稿では、羽島市議会 議長に就任させていただき全国議長会(特に全国自治体病院経営都市議会協議会)の取り組みと全国自治体病院・羽島市民病院の現状等々をお示しします。
▶︎▶︎▶︎羽島市民病院HP:11/14付 中日新聞 朝刊 新聞報道に対するお知らせはコチラ!
○全国市議会議長会について
全国市議会議長会は、都市の興隆発展を図ることを目的としており、全国47都道府県の市と東京都の特別区を合わせて815団体の議長により構成される組織です。昭和7年の設立以来、各市議会共通の課題解決に向け取り組んでおり、令和4年には創立90周年を迎えました。
○全国自治体病院経営都市議会協議会とは?
全国市議会議長会では4つの協議会(基地協議会・全国自治体病院経営都市議会協議会・全国高速自動車道市議会協議会・全国市議会議長会指定都市協議会)があります。
全国自治体病院経営都市議会協議会は自治体病院を経営する都市の議会議長(一部事務組合議会の議長を含む)が連絡協調して、自治体病院経営の健全化を図り、もって自治体病院の興隆発展に寄与することを目的としています。
羽島市は自治体病院である羽島市民病院があり、羽島市議会は「全国自治体病院経営都市議会協議会」に加盟して協議会があれば議長が出席します。(令和6年度は理事に就任)
○全国の自治体病院&羽島市民病院の現状とこれから
ホームページ:全国自治体病院経営都市議会協議会 第52回定期総会について
2024.05.14.
第52回 定期総会に出席した際には国に対して要望する項目について協議をいたしました。
【要望内容 抜粋】
・自治体病院の経営基盤の安定化を図る
・政策医療、不採算医療に対する財政措置をさらに拡充すること
・地域の医療ニーズに対応した支援体制を早急に確立すること
・地域医療構想の取組推進にあたっては、個々の病院及び地域の事情を十分に踏まえ、持続可能な地域医療提供体制の実現に向けた支援を行うこと
取りまとめた要望項目は地元の国会議員に送付され、要望活動が行われます。
羽島市民病院においても協議会の要望項目と同様の支援が求められます。今後も引き続き、国に対してあるいは地域医療構想(岐阜圏域地域医療構想)については岐阜県に対しても制度改革を訴えていかねばなりません。
また、令和3年度末に総務省から新たに、新興感染症等への対応も含めた「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」(令和4年3月 29 日付け総財準第 72 号総務省自治財政局長通知)(以下、経営強化ガイドライン)が示されました。
本ガイドラインを踏まえ、今後の羽島市民病院における新たな中期経営計画として、「羽島市民病院経営強化プラン」が策定されました。
一部新聞折込があったビラには「羽島市民病院経営改善プラン」を策定と記載がありました。しかし羽島市民病院では、すでに「羽島市民病院経営強化プラン」(令和6年3月に策定)を策定し経営の強化に取り組んでいます。
○自治体病院は重要なインフラ
再度、申し上げたい!
ただ、いたずらに「急激な赤字拡大」との報道を引用しSNS等で煽ぎたてるのはいかがなものでしょうか?
前述した通り民間病院とは違い自治体病院は「不採算医療」を抱えながら病院経営の強化・医療提供がなされているという現実があり、羽島市民病院を必要とする皆様がいらっしゃることを再度、認識する必要があります。
また、新型コロナウイルス感染症が蔓延した時には、岐阜県より「重点医療機関」に位置付けられコロナ専用病床を設置して医療従事者の皆様は、最前線で医療提供・治療に対応されました。
さらに災害時においても「救急医療」が実施できる体制を確保することとなっています。(羽島市国土強靭化地域計画)こうした緊急事態においても医療が提供される羽島市民病院を私たちは守っていかねばなりません。このように自治体病院である羽島市民病院は命を守る重要なインフラなのではないでしょうか。
○資料①:過去の市議会 一般質問答弁等
【質問】羽島市民病院の健全な病院運営について(令和5年6月定例会)
【答弁】一次救急医療、二次救急医療、三次救急医療の医療提供体制や求められる医療機能については、岐阜県の保健医療計画及び地域医療構想に明確に示されております。
岐阜医療圏での羽島市民病院の位置づけと役割につきましては、当院が属している岐阜医療圏では、岐阜県保健医療計画の位置づけに基づきまして、岐阜大学医学部附属病院及び岐阜県総合医療センターが三次救急を提供しております。そのため、当院は羽島市の公立病院として、岐阜県地域医療構想に位置づけられた羽島市及びその周辺地域における二次救急医療と急性期、地域に不足しております回復期の入院医療を行うことを主な役割としております。
病院ごとに属する医療圏における位置づけの違いや立地、医療需要のバックグラウンドとなる地域人口などの違いから、おのずと提供できる診療規模や診療内容にも差異が生じているところであります。
現在の運営状況と諸課題への対応でございますが、新型コロナウイルス感染症の対応につきましては、令和5年3月10日に国が示しました感染症法上の位置づけの変更に伴う医療提供体制及び公費支援の見直し等についてに基づきまして、都道府県が9月末までに移行計画を策定しております。
現在、当院は、県から重点医療機関として指定を受け、専用病床を確保することなどにより補助金を受領している状況です。当院としましては、県が策定した該当計画に適切に対応しつつ、該当補助金の制度設計の見直しに対しては、感染対応のために休床しております病床を再稼働するなどによる病床運用の見直しに取り組んでまいりたいと思います。
また、エネルギー価格の高騰につきましては、経費削減に取り組むとともに、国・県の支援事業を適切に活用してまいりたいと考えております。
経営強化プランの策定スケジュールと内容につきましては、令和4年3月に総務省から、持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドラインというものが示されまして、経営強化プランの策定が要請されました。経営強化プランの策定時期は令和5年度まで、計画期間は令和9年度までとされております。
プランの主な内容は、役割・機能の最適化と連携強化、医師・看護師の確保と働き方改革、経営形態、施設・設備の最適化、経営の効率化とともに、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえた新興感染症に対する平時からの取組等とされています。当院におきましては、令和5年度中の策定を予定しております。
今後の運営方針につきましては、救急医療の24時間体制を継続しつつ、急性期病床と回復期機能であります地域包括ケア病床の2つの機能を併せ持った運営を行っていくという役割を果たすためには、地域の中で個々に役割・機能を持った医療機関による連携が必要不可欠であると考えております。
岐阜連携都市圏においては、新たな連携事業として、急性期から回復期に至る切れ目ない医療の提供体制を確保することを目的に、岐阜市民病院で回復期医療が必要となる患者様、羽島市民病院で対応できない診療科の患者様を相互に紹介・受け入れる体制を推進する事業を提案しまして、第2期岐阜連携都市圏の新規事業として採択されました。
今後、岐阜市民病院と定期的な情報交換の会議を開きまして、入退院システムCARE BOOKの運用等により、事業推進を図る予定でございます。また、松波総合病院からは、月4回の内科系の夜勤勤務の医師の派遣を受けている状況です。
当院としての役割を果たしつつ、岐阜市民病院や松波総合病院等との病病連携や病診連携を進めることにより、地域全体として提供できる医療の確保に寄与してまいりたいと思います。
【質問】羽島市民病院が掲げる地域政策医療とは何なのか?(令和5年9月定例会)
【答弁】羽島市唯一の病床を有する医療機関として、羽島市及びその周辺地域における二次救急、急性
期と当該地域に不足している回復期の入院医療を行うことを主な役割としております。
国の政策医療としましては5疾病6事業がありますが、この地域における当院の政策医療の役割としましては、救急医療、回復期医療、災害医療、小児医療、新興感染症対策が挙げられます。採算性が低い分野もありますが、地域にとって必要不可欠な医療でありまして、当院が対応していくことは責務だと考えております。
【質問】地域にとって必要不可欠な医療分野というのは、採算性は低いが、羽島市民病院がしっかりと
対応していかなければならない、これが責務であるという答弁でありました。これは、全国の自治体病院にも当てはまりますが、羽島市民病院の存在意義でもあります。本来、市民病院の経営について質問する場合は、地域政策医療分野を理解し、念頭に置いた上で議すべきであります。
次の質問です。災害医療への対応と他医療機関との連携についてお聞きいたします。地域政策医療を展開する上で重要な医療分野の一つというのは、災害医療ではないでしょうか。災害医療の活性化を図るため、他医療機関との連携が必要不可欠ですが羽島市民病院の取組は?(令和5年9月定例会)
【答弁】災害医療については、羽島市地域防災計画において、当院の役割は、医療・救護活動の一翼を担うことが位置づけられております。発災時には、羽島市民病院災害対応マニュアル等に基づきまして、被災状況を確認した上で、災害時医療体制への移行を判断し、命を守ることを最優先とした活動を行っていくこととしています。
また、他の医療機関との連携については、岐阜県のぎふ救急ネット、岐阜県救急・災害医療情報システムと言いますけれども、や都道府県を越えた情報共有システムとして、広域災害・救急医療情報システム、EMISと言いますけれども、が整備されておりまして、このシステムを活用することとしております。
○資料②:関係リンク先
▶︎▶︎▶︎全国市議会議長会:全国自治体病院経営都市議会協議会HP
▶︎▶︎▶︎全国市議会議長会:自治体病院に関する要望①はコチラ!
▶︎▶︎▶︎全国市議会議長会:自治体病院に関する要望②はコチラ!