オガールプロジェクト視察(岩手県紫波町)
目次
○ 視察を終えての所感
2025.01.21.(Tue.).紫波町 オガールプロジェクトについて視察。
オガールプロジェクトを知ったのは、議員提案で制定を目指すため思案中の「スポーツ推進条例」をネットで調べていて偶然見つけたというのが正直なところです。
このプロジェクトに興味を持ったのは駅前の複合施設や公共施設集約、「公民連携」というワード。紫波町は人口33,000人ほどの規模でありオガールホームページにあるようなまちづくりがどうして可能なのか…調べれば調べるほど「公民連携」のワードが出てくる。いつもの悪いクセなのか良く言えば私の探究心が「視察に行ってみるか」という気持ちにさせたわけです。
新駅(JR東日本 紫波中央駅)誘致が全ての始まりと言っても過言ではないと思います。公共施設用地取得するものの財政難により、その土地は10年塩漬け。この土地を何とかできないのかという問題定義が当時の町長の決断で「公民連携」「PPP(Public Private Partnership)」という手法により解決されたというのが一連の流れであり、紫波町のまちづくりの実績となりました。
羽島市にも「オガールのような複合施設は必要か?」と言われると私は必要だと考えます。1ヶ所で全てのニーズに対応可能な複合施設(特に体育施設 屋内外、宿泊、飲食店、公園 等々)が羽島市にあれば住民生活の利便性は十分、向上するはずですし交流人口も増えるのでは。
整備用地は、市内にまとまった市有地がないので、岐阜羽島駅周辺は難しいにしても岐阜羽島IC周辺、かんぽの宿跡地であれば、田園都市型のまちづくりにコミットするのではないでしょうか。(問題はやはり用途地域の変更が難しいことかな…)
今後も市民の皆様にメリットある「田園都市型」のまちづくり向けてオガールのような「PPP政策」は、私のライフワークとしたいと思います。
【わかりやすい資料】
▶︎▶︎▶︎ オガールHP
▶︎▶︎▶︎ 内閣府HP
▶︎▶︎▶︎ まちづくり実践レポート
オガールプロジェクトに至る経緯、詳細は下記の通りです。
○ 燃え上がる 新駅設置運動から公共施設用地取得まで
新駅設置の機運が住民などから高まるなか請願駅として設置が承認されたのは平成9年。
しかし、設置条件は地元負担2.7億円と乗降客数確保でした。地元負担金である2.7億円は地元の町民や企業の寄付により2.68億円を集め、日詰西地区土地利用基本計画を策定。これは、乗降客の確保策として駅前の開発(公用・公共施設の集約)を目的に水田が広がった土地10.7haを28.5億円で取得。これにて新駅の設置条件を満たし平成10年3月に「紫波中央駅」が開業するわけですが…
○ 10年塩漬けの土地
住民の願いであった紫波中央駅が開業。あとは乗降客を確保するため土地利用計画を推進することとなりますが、町の財政が年々悪化。実質公債比率が上昇し(平成19年 23.3%)基金も減少する状況で計画は凍結となる。今後10年間、10.7haの土地は塩漬け状態…
○ 解決策は公民連携 結論、重要なのは…首長の決断!
平成18年以降は、塩漬けの土地をどうするのか。解決策を探るなか当時の藤原町長は公民連携によるまちづくりを考えた。また、紫波町出身の岡崎正信氏がキーマンとなり東洋大学大学院と紫波町が公民連携の協定を結び、平成21年2月には「紫波町公民連携基本計画」を策定。同3月には議会が議決。
○ 公民連携 オガールプロジェクトスタートへ!
東洋大学大学院の「PPPの定義」は、公共サービスの提供や地域経済の再生など何らかの政策目的を持つ事業が実施されるにあたって、官(地方自治体・国・公的機関等)と民(民間企業・NPO・市民等)が目的決定、施設建設・所有、事業運営、資金調達など何らかの役割を分担して行うこと。その際、リスクとリターンの設計、契約によるガバナンス、この2つの原則が用いられていることとされている。
公民連携基本計画策定以降は、都市再生整備計画を策定。そしてオガール紫波株式会社を設立。いよいよ、プロジェクトがスタートします。
【ちなみに、オガールとは?】
成長を意味する紫波の方言「おがる」+ 駅を意味するフランス語「Gare」を組み合わせた造語
紫波中央駅前都市整備事業が「オガールプロジェクト」
オガールプロジェクトのアプローチは、普遍的集客機能の確保・町民の財産である「町所有地」を安売りしない&毀損しない・消費を目的としない来訪者(3万有余、町民 年10回来訪 相当)の獲得・付帯サービス産業の発生&新たなビジネスチャンス=エリアの活気。
岡崎氏の持論は「まちづくりとは、不動産の価値向上である」としている。また、志と算盤の両立。リスクの少ない安定事業として評価される不動産開発を目指した。
○ オガールプロジェクトの主な事業内容とオガールエリアの詳細
【事業内容】
・紫波中央駅前都市整備事業(オガールプロジェクト)の推進、整備
・不動産開発
・企画管理運営
・産直「紫波マルシェ」管理運営(平成24年6月〜)
・オガールインレンストラン運営(平成26年7月〜)
【オガールエリア詳細】
・岩手県フットボールセンター
・オガールタウン日詰二十一区
・オガールプラザ
・オガールベース
・紫波町役場庁舎
・オガールセンター
・オガール保育園(民設民営)
・エネルギーステーション

オガールベース アリーナ バレーボール専用体育館

紫波町情報交流館

オガールプラザ 図書館

オガールプラザ 紫波マルシェ
○ オガール紫波株式会社の詳細
【設立時】
資本金:3,900千円
代表取締役:藤原孝
取締役:八重嶋雄光
組織:事業部長 岡崎正信 事務担当1名
出資者と比率:紫波町100% 78株
【平成23年6月1日 時点】
資本金:10,000千円
代表取締役:八重島雄光
取締役事業部長:岡崎正信
マルシェ開発部長:佐々木廣 事務担当:高橋剛
出資者と比率:紫波町 39% 78株、(株)紫波まちづくり企画 24株、岩手中央農業協同組合 20株、(株)岩手畜産流通センター 20株、(株)テレビ岩手 20株、(株)東北銀行 10株、(株)北日本銀行、盛岡信用金庫10株、佐々木廣 4株、岡崎正信 4株 計200株
【現在】
資本金:10,000千円
代表取締役:佐々木廣
組織:社員8名(管理職2名、マルシェ課5名、レストラン課1名の3課制を採用)
出資者と比率:上記と同じ 紫波町 39% 78株、(株)紫波まちづくり企画 24株、岩手中央農業協同組合 20株、(株)岩手畜産流通センター 20株、(株)テレビ岩手 20株、(株)東北銀行 10株、(株)北日本銀行、盛岡信用金庫10株、佐々木廣 4株、岡崎正信 4株 計200株
○ そのほかの情報 岩手県紫波町とは?
【地勢・歴史・自然・コミュニティ】
岩手県の中央に位置し東西に開けた自然豊かなまち
【特徴】
・果樹生産地であり全国屈指のもち米の産地
・10ヶ所の産直があり、都市と農地の交流拠点
・南部杜氏の発祥の地であり、4つの造り酒屋がある
・「循環型まちづくり」で環境と福祉のまちづくり
【現状】
・人口は微減し世帯数は微増 人口32,734人(前年 32,953人)/世帯数 13,014世帯(前年 12,908世帯)
・紫波中央駅前の住宅地の地価は上昇中