盛岡広域スポーツコミッション 視察(岩手県盛岡市①)
岩手県紫波町でのオガールプロジェクトの視察を終え盛岡市にお邪魔して広域スポーツコミッションとスポーツ推進条例の視察を2025.01.22.に行いました。今回、このページでご紹介するのは「盛岡スポーツコミッション」です!
目次
○ 視察を終えての所感
この「盛岡スポーツコミッション」は3市(盛岡市・八幡平市・滝沢市)5町(雫石町・葛巻長・岩手町・紫波町・矢巾町)が連携し対外的に地域スポーツの魅力向上と各種媒体を活用した効果的な情報発信を推進しています。
スポーツコミッションの取り組みについては後述する通りですが羽島市においてもプロスポーツとのとの連携・支援、トップアスリートへの支援は強化すべきであると考えます。
また、住民参加システム策として「スポーツパル」のように登録制によるスポーツボランティアの参加促進、メールマガジンを活用してスポーツ情報の配信を行うべきでしょう。(市の公式LINEでもできそう…)ボランティアに参加してポイントを貯めグッズに交換できるのは大きな魅力に感じます。
周辺自治体とはスポーツ大会・イベント、体育施設の利用など広域資源を活かしながら連携を深め、地域スポーツ振興の一助とし交流人口の創出も目指すべきでしょう。
○ スポーツコミッション設立の経緯
平成25年3月
盛岡市スポーツ推進計画(平成25〜34年)策定
平成28年5月
広域首長懇談会において、2016希望郷いわて国体・いわて大会後に「広域首長懇談会・国体部会」を発展的に解消し、盛岡広域スポーツコミッションを設立する方向を確認
平成28年10月
希望郷いわて国体・いわて大会が成功裏に閉幕
平成29年3月28日
盛岡広域スポーツコミッション設立
○ スポーツコミッションの概要 目的
「東日本大震災復興の架け橋」をスローガンとする希望郷いわて国体・希望郷いわて大会は成功を収め盛岡広域8市町はそれぞれの自立性を尊重しつつ、相互に連携・協調してスポーツツーリズム等の取り組みを通じた盛岡広域圏の魅力の発信と賑わいの創出を図る。→国体の遺産を生かす取り組みを継続的に行なっていく。(競技力向上・施設整備・運営能力の向上・スポーツへの関心の高まり・人脈などのネットワーク)
○ スポーツコミッションの概要 意思決定と役割
・意思決定は理事会が行う
幹事会の議論を踏まえた全会一致が原則→規約、事業計画、予算・決算等
・各自治体の取り組みのうち、広域的に関わることにより効果が高まると思われるものについて、連携・協力・支援を行う。(ここ重要)
○ スポーツコミッションの基本的施策
①スポーツによる交流人口の拡大
・全国大会等の大規模大会・合宿の誘致→情報の共有、複合的な魅力のアピール
・構成団体が行うイベントへの支援→各市町が行う既存イベントの魅力向上、特産品の提供(ここ重要)
・スポーツパル制度の拡充→ウェブサイトによる情報発信、LINEを活用した登録・ポイント管理(ここ重要)
②地域スポーツの魅力向上
・各種媒体を活用した効果的な情報発信→広域圏のスポーツ施設・イベントの発信、新たなイベント誘致や住民参加のシビックプライドの醸成
・プロスポーツとの連携・支援→地元プロチームの活躍による賑わいの創出や地域の一体感の醸成
・トップアスリートへの応援→エイト・オリンピアンズ・プロジェクト
③広域的なスポーツツーリズム推進
・広域的スポーツ施設整備の促進→「ストック適正化指針」に基づく、スポーツ施設の適正配置
・スポーツツーリズム商品開発に関する調査・研究→広域圏の特色を生かしたツーリズム商品の調査・研究
・スポーツツーリズム推進にかかる調査・研究→今後の取り組みを効果的に進めることを目的とした広域的なデータ収集
○ 主な取り組みと成果
①大会・合宿への取り組み
共同ホストタウン、東京2020オリパラ事前キャンプにおける情報共有(コロナ対策、空港からの移動手段、交流イベントの開催など)
・盛岡市:カナダ(水球女子、クライミング)
・八幡平市:ルワンダ(陸上、自転車、水泳)
・岩手町:アイルランド(ホッケー女子)
・紫波町:カナダ(バレーボール男子、シッティングバレーボール女子)
②情報発信
▶︎▶︎▶︎盛岡広域スポーツコミッションHP
その他SNSなど
③住民参加型システムの構築 スポーツパル(ここ重要)
・スポーツパル
登録料無料で会員登録し、盛岡広域の対象スポーツ施設の利用やスポーツボランティア活動への参加によってポイントを貯めることができ、一定数のポイントを貯めると各種ポイント交換グッズに交換が可能です。そのほか、メールマガジン等によりスポーツ情報の配信を受け取ることもできます。
④広域資源を活かしたイベント支援(盛岡広域特産品セットの提供)
⑤プロスポーツの支援(ボランティア募集へ協力)
⑥盛岡広域ゆかりの選手を応援
「エイト・オリンピアンズ・プロジェクト」
盛岡広域ゆかりの選手・指導者に対して盛岡広域が一体となって応援していくことを目的としたプロジェクト。地元スポーツ雑誌Standardへの掲載など。
⑦ラグビーワールドカップ2019、東京オリパラへの対応
ホストタウン、公認チームキャンプ地など
⑧ストック適正化指針策定
(目的)
・データベース化による広域的な課題や役割に関する認識を共有
・スポーツ施設を活用したスポーツツーリズム推進の方向性の共有
・スポーツツーリズム施設に今後望まれる機能の明確化
・県及び民間施設に今後期待する機能の明確化
・スポーツツーリズム施設の広域的補完・連携の望ましい姿の明確化
▶︎▶︎▶︎ストック適正化指針
○ 今後について
・各自治体の自立性の尊重→コミッションは自治体の施策を後押し(連携・協力・支援)
・実感の伴う減りとの創出→知名度の向上、交流人口の拡大、特産品の販売促進、経済波及効果
・地域の魅力向上への貢献→行政の枠組みを超えた帰属意識(誇り)・一体感、移住定住へのインセンティブ
○ 予算など
収入は8市町の負担金(均等割・人口割)等で222万2千円
主な支出は、講師の謝金・旅費、広告費(エイト・オリンピアンズ・プロジェクト広告料)、報償費(特産品の購入費)、業務委託費(ウェブサイト運用保守業務委託)の事業費
○質疑応答
視察前に盛岡市に提出した質問の回答一覧
○盛岡広域スポーツコミッションについて
Q.8市町がどのような連携を推進していますか?(連携の詳細)
A.各市町の取り組みが効果的・効率的に推進されるよう支援行なっています。
例えば、県とともに新しく整備した「きたぎんボールパーク」の指定管理者とともに8市町の球場のパンフレットを作成しました。指定管理者では、その資料を手に営業を行い、8月にサマーベースボールリーグを開催しており、今年も16チームが参加して試合をきたぎんボールパークで、練習を近隣市町の野球場で行なっている。
合宿の問い合わせについては、事務局(盛岡市)で要望に沿うような体育施設をチョイスして紹介している。場合によっては、関係する市町に引き継いでいる。
Q.各市町はどのように足並みを揃え活動を行っていますか?
A.当コミッションとしては、各市町の取り組みを後方支援するようなイメージ。
例えば、各市町で実施しているスポーツイベントの周知・広報や、副賞として盛岡広域特産品セットの提供を行なっている。
Q.設立にあたり反対意見はありましたか。また、各市町の地元の意見等はどのようなものがありましたか?
A.広域首長懇談会において、2016 希望郷いわて国体・いわて大会後に「広域首長懇談会・国体部会」を発展的に解消し、盛岡広域スポーツコミッションを設立。設立にあたり、反対意見はなかった。
Q.地域総合型スポーツクラブとの連携はありますか?
A.当コミッションとしてはなし。
Q.取り組みとして「地域スポーツの推進」とあるがプロスポーツとの連携はどのように実施していますか?
A.スポーツパルを活用しホームゲームの運営ボランティアの募集を行なっている。
Q.子育て世代など若年世代を対象とした取り組みは何かされていますか?
A.若年世代にターゲットを絞った取り組みは実施していないが、当コミッションで実施しているスポーツパル交流会は、若年世代にも参加しやすいような内容となるよう心がけている。
Q.当コミッションの財源など内訳を教えてください
A.各市町からの負担金
Q.岩手県の協力はどのようなものがありますか?
A.岩手県が主催する「いわて合宿相談会」へ参加し、盛岡広域での合宿を誘致している。
そのほか、当コミッションが実施する研修会の周知を行なっていただいている。
Q.広域での指導者育成はどのような方法で取り組まれていますか?
A.当コミッションとして、指導者育成は取り組んでいない。
Q.スポーツ施設の共有化・適正配置の方法は?
A.2022年2月に「盛岡広域圏におけるスポーツ施設のストック適正化指針」を策定。
この指針では、各市町のスポーツ施設のあり方(課題や役割)の方向性を共有し、施設整備等の判断材料の1つとしている。
Q.大会、合宿補助制度の詳細は?
A.当コミッションとしての合宿補助制度は無いが、各市町単独で合宿補助を行なっているところもあり、コミッションWEBサイトで周知している。(大会・合宿補助制度 WEBページ)
○盛岡広域スポーツパルについて
Q.スポーツパルの詳細 事業や活動内容など
A.スポーツに親しみスポーツを支える住民のネットワークをつくり、地域の住民がスポーツを通じて健康でいきいきと暮らすことができるまちづくりを推進することを目的とする取り組み。
主な事業としては、プロスポーツのホームゲームでの運営ボランティア募集、各市町のスポーツイベントでのボランティア募集、情報発信等がある。
Q.情報発信の方法
A.月2回(1日・15日)のメールマガジン配信、コミッションWEBサイトやスポーツパルWEBサイトでの情報発信。
Q.スポーツボランティア活動でのポイント制の詳細
A.3時間程度の活動…2ポイント/3時間を超える活動…4ポイント 貯めたポイントで特典を受け取ることができる。
Q.財源など内訳
A.R6はWEBサイトの運用管理保守で、盛岡市のみで負担。
※R7からは、各市町で負担を検討
Q.交流会の詳細
A.年1回、一般向けにスポーツパル交流会を実施している。その時に話題になった施設見学やスポーツの体験会を行なっている。令和6年度は、3月にピックルボール体験会を予定している。
・第1回:グルージャ盛岡・岩手ビッグブルズとの交流
・第2回:カーリング大会
・第3回:地元プロスポーツをみんなで応援しよう!(グルージャ盛岡ボランティア体験)
・第4回:いわスタを楽しもう!(ラグビー選手との交流)
・第5回:もりおか近郊自然歩道を歩こう
・第6回:ボッチャをやってみよう!
・第7回:いわて盛岡ボールパーク見学ツアー
・第8回:モルック体験会
・第9回:ピックルボール体験会(予定)
