女性差別撤廃条約選択議定書 早期批准を求める意見書を発議 賛成多数で可決
9月定例会も閉会。
今定例会 最終日 10/1に「女性差別撤廃条約選択議定書の早期批准を求める意見書」を発議いたしました。
結論から申し上げますと修正動議がありましたが提案者に対し質疑・反対討論を行いそちらは否決。原案は「賛成:12/反対:4/欠1」となり可決されました。意見書の発議と可決には党派を超えて賛同をいただきました。ご理解賜りました議員には、厚く御礼を申し上げます。
意見書の提案理由は下記の通りですがこの議定書批准に関しては、多くの意見があろうかと思います。しかし、批准による「個人通報制度」は女性にとって重要な制度であるという認識のもと提案をさせていただきました。ぜひ、提案理由と意見書 本文(画像)をご覧ください。
意見書名:女性差別撤廃条約選択議定書早期批准を求める意見書
【意見書提案理由】
初めに、意見書の発議に当たりまして、多くの議員の皆様のご賛同を賜り、意見書を上程することができました。心より御礼申し上げます。
それでは、発議第11号 女性差別撤廃条約 選択議定書の早期批准を求める意見書について提案理由を申し述べます。
内容等については、意見書にまとめた通りですが、我が国は、女性差別撤廃条約を1985年に批准しています。しかし、女性差別撤廃条約の実効性を高める「女性差別撤廃条約選択議定書」については、批准しておりません。
この付属条約でもある「女性差別撤廃条約・選択議定書」については、法的拘束力はありませんが、批准をせねば、個人通報制度や調査制度が利用できません。
個人通報制度は、本条約で保障されている権利が侵害されたとき、女性差別撤廃委員会に通報して救済を申し立てることができる制度であり、国内外で女性に対する権利が侵害された場合、国内司法で救済されなかった差別・暴力等の被害者が、国連の女性差別撤廃委員会に直接訴えることが可能となります。
調査制度については、個人通報制度と異なり、被害者の申立てがなくとも発動可能であり、女性差別撤廃委員会が、本条約に定める権利の重大または、組織的な侵害があるという信頼できる情報を得た場合に当該国の協力のもとで調査し、国に調査結果を意見・勧告とともに送付する制度です。選択議定書に批准した国々では、女性差別撤廃委員会より様々な女性差別に関する意見や勧告がなされております。
早期に批准し取り組むべき具体的な1事例として申し上げれば、日米地位協定第17条 刑事裁判権です。この刑事裁判権は「不処罰の文化」と言われ、在日米軍関係者による犯罪について、日本の裁判権が十分に行使されず、起訴や処罰が実質的に困難となる場合、重大事件であっても「不起訴」や「軽い刑罰」に終わる例が多くあります。
現実問題、米軍基地が集中する沖縄での米兵による女性への性暴力が頻発しており、政府は2023年12 月に起こった事件を沖縄県に知らす事なく、その後、半年間でさらに 5件の事件が起こりました。米軍による性暴力から女性を守り、国際社会への発信にもなるため、こうしたケースにおいても重要な制度であると考えており、日本政府は女性差別撤廃条約の締約国として、米兵による性暴力を防ぐ施策を講じる責務があります。
しかし、女性に対する権利が侵害されるケースは、先述した米兵による問題だけではありません。
日本社会での女性差別及び男女不平等の解消に向けた諸課題は残存しています。それを解決するためには、やはり、選択議定書を早期批准することによる「個人通報制度・調査制度」が重要になってくるのではないでしょうか。女性差別撤廃委員会は、2024 年 5 月までに 162 件の個人通報を受け付け、そのうち55 件で条約違反を認定いたしました。この履行率は人権条約の中で一番高いものであります。
最後に、参考情報として、2025年9月現在 389の府県、市区町村議会において同様の意見書が提案され可決に至っております。
議員各位におかれましては、何卒、本意見書についてご理解をいただきご賛同賜りますようお願い申し上げて、提案理由の説明とさせていただきます。
