羽島市議会議員 野口よしひろ 公式ホームページ

憤りを感じる政治家・一部団体による自衛隊への侮辱 ①

 2026.06.15.参議院決算委員会 立憲民主党 古賀千景 議員は、「自衛隊に行く子ども達って、経済的に厳しい子ども達が行くんです」、「豊かな子ども達は、自衛隊とかになりませんよ」と発言。ただ、問題発言だと感じたのか、古賀議員は、慌てて謝罪し訂正しましたが、自衛官に対する偏見と差別であると全国的な議論を生みました。

 小泉防衛大臣のもと、自衛官の処遇改善が行われる中で、このような考えを持つ国会議員がいまだに存在していることに、私いは正直、驚きと憤りを感じました。古い記憶にある民主党政権時の仙石 内閣官房長官の「暴力装置でもある自衛隊」発言を思い出します。

 このように、自衛隊、あるいは、自衛官に対して偏見や差別的な発言は残念ながら国会内にとどまらず、市議会でも存在していると言わざるをえな。
 今年の羽島市議会6月定例会では、「自衛官募集に係る「対象者情報」(個人情報)提供の中止を求める請願」が紹介議員2名により、上程されました。
 議員が紹介議員になり請願を上程することは何ら問題ありませんが、理解することができないのは、請願趣旨に記載された文言です。

自衛官には「自らの命を賭けて相手をせん滅(殺傷)する」という武力行使への服従義務(賭命義務)があります。

 相手をせん滅することは国際法で厳しく禁止されています。あたかも自衛隊が国際法を犯す組織であるかのような書きっぷり。私は強く憤りを感じるとともに、職業差別、偏見ではないかと思い、且つ、先ほど紹介した立憲民主党 古賀議員の発言を思い出しました。

 地方議会でもこのような事態が起こっています…
 前置きが長くなりましたが、今回は、6月定例会で行った「請願の反対討論」についてご説明いたします。

○ 羽島市議会に上程された請願

 それでは、令和8年 羽島市議会 6月定例会に上程された請願をご紹介しましょう。本当に請願趣旨が理解できません。繰り返しになりますが、紹介議員は2名でしたが、自衛官を侮辱していると思ってもいないんでしょうか。なぜ、侮辱するような文言が含まれた文章を是としたのか甚だ疑問と言わざるを得ません。

請願名

自衛官募集に係る「対象者情報」(個人情報)提供の中止を求める請願

請願趣旨

 現在、自衛隊は集団的自衛権の行使容認、安保3文書改定による敵基地攻撃能力の保有によって大きく変質しています。自衛隊は海外の戦地に赴く可能性のある事実上の軍隊になっていると言わなければなりません。しかも、自衛官には「自らの命を賭けて相手をせん滅(殺傷)する」という武力行使への服従義務(賭命義務)があります。さらに、高市首相の二度にわたる台湾問題に関する発言では、自衛隊が米軍とともに武力行使する可能性も示唆されています。羽島市は、青年をこういった危険な任務に就かせることにつながる「対象者情報」の提供を中止するべきです。

 自衛官募集のために、本人の同意なしに募集対象者情報を自衛隊に提供することは、憲法13条に基づくプライバシー権の侵害です。また、個人情報保護法ならびに住民基本台帳法は、個人情報の外部提供を原則禁止しており、自衛隊法97条と同施行令120条は、個人情報を提供する根拠になりません。

 加えて羽島市では対象となる適齢者自身や保護者等には、情報提供の可否について自らの意思を示すための情報も機会も設けられていません。ある日突然ダイレクトメールが届き、自衛隊への勧誘を受けることに対し違和感、不安を感じます。これは若者やその家族の人権を著しく侵害する事になります。

 よって以下について請願します。

請願事項

1.自衛官募集に係る「対象者情報」(個人情報)の自衛隊への提供を中止する事

紹介議員

羽島市議会議員 2名

○ 私が発言した「反対討論」原稿

 請題1号「自衛官募集に係る「対象者情報」(個人情報)提供の中止を求める請願」に対し反対の立場で討論を行います。

 この請願文書表を読ませていただきましたけれども、非常にその内容に驚きと言いますか、いろんな感情が込み上げてまいりました。
 自衛官には、自らの命を懸けて相手をせん滅、殺傷するという武力行使への服従義務、賭命義務があります。 私、元自衛官なんですが、せん滅をする命令を下す組織の一員であったのかと思いながらも昨日から反対討論の原稿を書かせていただきました。
 いろいろな感情と申し上げたのは、決してこの請願文書の賛成を意図する感情ではありません。怒りでもあり悲しみでもあり、屈辱的で侮辱的であるからです。

 皆様、ご承知の通り、自衛隊の役割は、国防・災害派遣・国際平和協力活動が挙げられ、わが国の重要な任務を担っています。その上でお話をさせていただきますが…

 本請願の請願事項は「自衛官募集に係る「対象者情報」(個人情報)の自衛隊への提供を中止する事」とあります。しかし、請願の趣旨で「自衛官には自らの命を賭けて相手をせん滅(殺傷)する」という武力行使への服従義務(賭命義務)があります。」と示されておりますが、この文言は断じて看過することができません。

 それは、自衛隊法第88条(防衛出動時の武力行使)では、「第76条第1項の規定により出動を命ぜられた自衛隊は、我が国で防衛するため、必要な武力を行使することができる。」とされており、また、「前項の武力行使に際しては、国際の法規及び慣例によるべき場合似合ってはこれを遵守し、かつ、事態に応じ合理的に必要と判断される限度を超えてはならないものとする。」と規定されています。

 よって、請願の趣旨で述べられている「自衛官には自らの命を賭けて相手をせん滅(殺傷)する」という武力行使への服従義務(賭命義務)があります。」と言うのは、事実誤認ではないでしょうか。また「せん滅」と言う言葉もございます。「せん滅」とは、すっかり滅ぼすこと、皆殺しにすること意味しています。

 自衛隊は、そのような組織なのでしょうか。

 他国や特定の集団を全面的に「せん滅」させることは、国連憲章や国際人道法、日本国憲法、国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法律によって厳しく禁止されています。よって、自衛隊は、国際法、国内の法律において禁止する「せん滅」させる行為を行使する、または服従・賭命義務を課す組織ではありません。

 また、請願の趣旨に示された「服従義務・賭命義務」と言うのは、自衛隊法第52条服務の本旨「隊員は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身をきたえ、技能をみがき、強い責任感をもつて専心その職務の遂行にあたり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に努め、もつて国民の負託にこたえることを期するものとする。」、同法題53条 服務の宣誓で「隊員は、防衛省令で定めるところにより、服務の宣誓をしなければならない」このことを指していると思われますが、防衛省令・自衛隊法施行規則が定める一般の服務の宣誓は、

 「宣誓 私は、我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、技能を磨き、政治的活動に関与せず、強い責任感をもつて専心職務の遂行に当たり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います。」とあります。

 そして、自衛隊組織のリーダーとなる「幹部自衛官」の宣誓は、「宣誓 私は、幹部自衛官に任命されたことを光栄とし、重責を自覚し、幹部自衛官たるの徳操のかん養と技能の修練に努め、率先垂範(そっせんすいはん)職務の遂行にあたり、もつて部隊団結の核心となることを誓います。」とあります。

 一般・幹部両宣誓を紹介しましたが、国際法で禁止されている「せん滅」行為を服従・賭命義務を課すような文言はありません。

 これまで、法律を基に、自衛隊という組織は、請願趣旨に示された組織ではないことを述べさせていただきました。よって、現実的なご認識のもとで、請願を提出されるべきです。
 そして、「自衛官には自らの命を賭けて相手をせん滅(殺傷)する」という武力行使への服従義務(賭命義務)があります。」この文章のどこに国民の負託が存在し得ましょうか。これでは、あたかも、自衛隊が単なる「相手をせん滅(殺傷)する」組織と誤解を招きます。請願事項に賛成致しませんが、もし仮に賛成をしたら、羽島市議会が請願趣旨の内容に対しても是とすることになってしまう。こういったことは、あってはならないのであります。

 このように事実誤認の文言を挙げ連ねて、請願を行うのは、現役自衛官、もちろん、羽島市出身の自衛官やその家族、私のような元自衛官も、そして自衛隊全てに関わる関係者に対して、侮辱的で且つ、屈辱的であり、到底、許されるのもではありません。

 さらに、趣旨にある「羽島市は、青年をこういった危険な任務に就かせることにつながる「対象者情報」の提供を中止するべきです」とあります。

 自己、私利の権利のみを主張し、我が国の平和は築かれましょうか。日日、職責を果たす者、また、職域に殉じたる者あればこそ、私たちは、その熱き想いを胸に刻み、公利公益を追求し、只々、五十風雨のために自問自答を繰り返し、ひたすら尽力尽心すべきです。

 最後に請願事項について申し上げます。

 令和8年6月16日に行われた、小泉防衛大臣 閣議後の会見において、令和7年度の自衛官等の採用者数について報告がありました。

その内容は、

・少子化による募集対象者人口の減少により、我が国が深刻な人手不足を迎える中、令和7年7月末の高校新卒有効求人倍率は、前年と同様に高い水準で推移しており、人材獲得競争は、引き続き厳しい状況となっていること。

・そのなかで、令和7年度の自衛官等の採用者数については、11,177人と、前年度と比較し1,453人の増加。

 これは14.9%のプラスになります。このうち、一般曹候補生については、4,946人と、5年ぶりに増加し、自衛官候補生については、4,320人と前年度に引き続き増加。自衛官候補生の採用者数は、前年度と比較して約35%増であるとのことでした。

 会見後半、採用者数の増加は、これまで防衛省が取り組んできた、自衛官の処遇、生活・勤務環境の改善、新たな生涯設計の確立等に関する各種の施策が一定の効果を上げたとともに、自衛官募集という重要な任務に当たる現場の広報官の努力の賜物であると発言されました。
 この大臣の発言は、正しいと捉えますが、広報官の努力も当然ですが、やはり、自衛官募集事務を行っている自治体の実績でもあると考えます。

 そして、この自衛官募集事務に関しては、全国で700を超える市町村が紙媒体または電子媒体で行っております。

 請願趣旨で否定されておりますが、700を超える自治体が法的根拠としているのは、自衛隊法第97条第1項の「都道府県知事及び市町村長は、政令で定めるところにより、自衛官及び自衛官候補生の募集に関する事務の一部を行う」と規定されている部分、自衛隊法施行令第120条の防衛大臣は、自衛官または自衛官候補生の募集に関し必要があると認めるときは、都道府県知事または市町村長に対し、必要な報告または資料の提出を求めることができる」と規定されている部分であります。
 また、個人情報の保護に関する法律では、個人情報の提供を制限していますが、同法第69条第1項の「法令に基づく場合」は提供できる旨を規定しています。募集対象者情報の提供は、法令に基づき提供しようとするものであり、同法の関係でも適正な事務となっています。

 さらに、防衛省人事教育局長、総務省自治行政局長より自衛官又は自衛官候補生の募集事務に関する資料の提出について(通知)が各都道府県知事、市区町村に通知されております。その内容は、自衛官確保の重要性について地方公共団体の更なる理解促進を図ることや募集に関する地方公共団体との連携が示されており、平成25 年には、自衛隊に対して募集対象者情報を電子データ又は紙媒体で提供していただいた市区町村はおおよそ全体の三分の一であったところ、年々割合は増加し、令和5年度にはおおよそ三分の二となっている。防衛省としては、総務省と連携し、募集対象者情報を有するすべての市区町村から電子データ又は紙媒体の提供が得られることを目指すとともに、防衛力の中核となる自衛官の確保の重要性に対する地方公共団体の理解を促進し、連携を強化していく。と具体的な方策が記載されております。

 この通り、自衛官募集に係る「対象者情報」(個人情報)の自衛隊への提供を中止することは、自衛官確保に向けてマイナスとなることから、対象者の理解を賜りながら、防衛省や総務省が示すような連携体制を今後も続けるべきであります。 以上です。

○反対討論 録画中継 動画

 動画でもご覧ください。

○ 請願は採択阻止!

 結果、この請願は不採択となりました。正直、ホッとしたところ。
 この内容の請願を羽島市議会が採択してしまったら、羽島市出身の自衛官やご家族、自衛隊家族会の皆様など関係団体の皆様に対して大変失礼です。こうした皆様にどのように説明責任を果たすのか…。

 しかし、何度でも言う…「本当に理解ができない…」

○ 今後の対応を考える

 反対討論だけでは終わらせない。今後も「自衛隊の大切さ」を訴えてまいります!

国と県に対し意見書を発議する!

 沖縄県名護市議会や三重県度会郡玉城町議会では「自衛官に対する偏見及び差別の解消並びに理解促進を求める意見書」が可決されています。羽島市議会の次期定例会は9月ですので、私も上記議会のような意見書発議を目指してまいります。

横須賀にて撮影

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