羽島市・旧庁舎の行方 Vol.6「答申について」
2022.02.28.(Mon.)
本日「第5回 羽島市旧庁舎あり方検討委員会」が開催され傍聴しました。
協議内容は、前回の委員会において発言された各委員の意見について会議要旨の確認が行われ、答申(案)について協議。
答申(案)については、委員のみなさんから、反対意見等はなく松井市長に答申を手渡すことになりました。
●答申内容(抜粋・要約)
答申内容は下記の通り(添付画像もご覧ください。)
本庁舎及び教育センターについては、施設として使用・保存せず解体すること、また、中庁舎及び北庁舎については、引き続き庁舎の付属施設として使用することが最良であると結論付けます。なお、旧庁舎のあり方についての留意事項、当委員会の審議結果及び総括は、別紙の通りです。(下記にまとめました。)
○検討委員会の審議結果及び総括
(1)物理的視点からの検討について
旧庁舎4施設のうち、本庁舎及び教育センターについては、一般公共建築物に求められる必要最小限の耐震基準(IS値)0.6を満たしていない。
特に、本庁舎IS値の最低値は0.245、望楼の一部は0.23を示しており、建物全体において耐震性能が著しく低く、加えて外壁の剥離や崩落などコンクリートの劣化も著しく、現状での継続的な利用については不適当と考える。
本庁舎を公共施設として利用するためには、耐震補強、液状化対策のみならず、延命のための補修も施す必要がある。一方、中庁舎及び北庁舎の2施設については、耐震基準を満たしており、引き続き庁舎の付属施設として利用することは可能な状況にある。(2)財政的視点からの検討について
①市財政への影響について
羽島市は財政の安定化を講じて将来世代への負担を残さない財政運営に取り組んでいる。本庁舎を今後も利用することを仮に想定した場合、建物の外観を損なわない工法として、最も安価な工法(枠付鉄骨ブレース・RC壁増設)による工事約17億円と、免震装置を取り付ける工法(免震レトロフィット)による工事費32億円の2つのケースを抽出し、財政的影響についてシミュレーションを行った。その結果、自主財源及び起債を活用するいずれの場合も工事開始後数年以内において財政調整基金が枯渇し、長期にわたる後年度負担が発生することにより、市民サービスの抑制と負担の増大が懸念される。▶︎【旧庁舎の行方Vol.4】旧庁舎の耐震費用について②羽島市公共施設等総合管理計画について
将来に必要な施設機能を維持していくためには、今後必要な更新費用の不足が見込まれており、現有の公共建築物の総床面積を23%削減していくことが示されている。
現有施設の必要性を的確に検証し、将来人口の趨勢や行政ニーズに見合った量まで公共建築物の整序を図る必要がある。(3)利用目的による検討について
②新たな有効利用の検討(継続利用・保存すべき利用)
本庁舎について、外部団体から活用に向けた検討期間の延長の要望書が2件提出されている。しかし、具体的な利活用の提案はなされておらず、現時点において、市民、企業等からの財政支援や利用意向に関する提案はない。(4)文化財の検討について
文化財の指定に関しては、利活用を明らかにすることが前提とされている。国の文化財指定を受けるには、市又は県の文化財指定が必要であり、最短で7年程度の年数を要する。さらに、文化財指定を受けるには、その目的にあった耐震補強経費及び維持管理維持管理に多額な費用も要する。
利用目的が明らかでない状況で、耐震強度をはじめとした安全性の観点から問題を抱えている建物を長期間放置することは、市民生活の安全上からも極めて不適切な対応である。(5)旧庁舎の解体について
本庁舎及び教育センターを解体するに当たっては、市財政への影響を考慮し、羽島市の財政運営上最も有効な手法を用いる必要がある。そのため、今般、事業期間が令和8年度まで5年間延長された「公共施設等適正管理推進事業債」を活用することで財政負担を軽減、標準化することも一つの方策と考える。
なお、本庁舎を解体するに当たっては、郷土出身の著名な建築家である坂倉準三氏の功績を称えるとともに、日本建築学会賞を受賞したモダニズム建築である本庁舎のデータを後世に残すため、最新のデジタル技術を活用した記録の保存を推奨する。▶︎【旧庁舎の行方Vol.3】 旧庁舎の解体費用について○総括
私たち委員は、令和3年7月から計5回にわたり、羽島市旧庁舎のあり方について、羽島市民のために最善となる方向性を選択するべく、慎重な議論を重ねた。特に本庁舎については、郷土出身の著名な建築家が設計されたことから、市民にとっても思いの深い建築物であることは理解するところである。
しかし、現実的な視点に立って考えた場合、耐震性に乏しく、老朽化の進んだ旧庁舎を改修し、将来にわたり維持していく財政負担を羽島市に強いることは、現実的ではない。今後、羽島市のみならず、我が国全体の人口減少問題や社会経済情勢の変動、さらには自然災害等々の諸問題が地方行政に押し寄せる中で、次世代を担う市民の負担を軽減することを前提とした理念に基づいて、本あり方検討委員会においては、最善の判断をすることを使命と考え、答申書をまとめた。
●松井市長のコメント(Facebookより)
○松井市長 記者会見要旨
①委員会の答申内容を尊重させていただく。
②今後の羽島市の行財政運営の影響、建築物としての利用価値、周辺への安全性等を総合的な観点から検討する。
③市としての方針を早期に定める。
●まとめ
答申内容については、検討委員会を傍聴した経緯もあり、理解することができます。また、本答申の内容は、羽島市の財政状況など行政運営上の計画に沿ったものであります。そのため、私はこの答申内容に賛同いたします。
答申にある通り、厳しい財政状況の中で旧庁舎を現物保存することは、現実的ではありません。
昨年、開催した市政報告会において市民の方からご提案を頂戴した「デジタルアーカイブ」などのデジタル保存が方策です。
やはり、市民生活の安心・安全を考えるのであれば早期に解体し、坂倉準三氏の功績を称えるため、旧本庁舎のデータをデジタル技術を活用した保存方法で後世にも活用いただければ、問題ありません。
最後に松井市長が記者会見で述べられた通り、まずは市としての方針を早期に決めていただきたいと思います。
▶︎第5回 旧庁舎あり方検討委員会の答申内容(まとめ)① ② PDFはこちら◀︎